たちどころに治る修復
その大きな理由は、①歯を作りやすい形に削る②型を取る③技工士に修復物を作ってもらう④できたものを歯にセメントで付けるという複雑な工程があるためです。
さらに、金属の土台が入るためには①~④を金属土台のためにもう1回繰り返すことになります。技工士が作る工程も複雑で完成まで中1週間(大学では中2週間)は最低必要です。
歯の間にむし歯があると①の作りやすく型を取る規定の形にするためにむし歯の5~8倍の健康な歯を削る必要があります。そのために型を取る前や歯ができるまでの間に神経を取ることも多く、神経の治療が入るとさらに数回(数週間)治療期間が延びます。歯ができたと思っても健康な歯を大量に削ってあるために、修復後に痛みなどのトラブルが多く、修復物を壊して神経の治療からやり直すこともあります。また、技工士が患者さんの口の中を見ないで外部で作ってくるために、形や色が合わないために作り直しになることも多いです(再製作はとても経費と手間がかかるのでそのまま我慢させられることもとても多い)。
もし、修復を口の中で全部行ったら、①~④は必要なくなり、むし歯だけを除去し、そこを補う形態に修復すればたちどころに治せます。そのためには歯の形に合わせて自由に形を作れる優秀な材料とそれを歯のエナメル質や象牙質に強力に安全にくっ付ける接着システムが不可欠です。日本は世界で初めて象牙質への接着材を発明し、口の中で直接修復できるコンポジットレジンも優秀な材料を開発し、コンポジットレジン接着修復において今でも世界トップを走ってします。しかしながら、コンポジットレジンや接着材もすべてが同じ優秀な製品ではなく、安いものや性能よりも簡単さを優先にした製品、稚拙な接着操作も含めてレジン修復に見られています。レジンはむし歯になりやすい、変色しやすい、取れやすい、長持ちしないという説明をする歯科医師がもしいたら、その説明はあくまでその歯科医師の使う材料や技術に当てはまる説明です。つまり、コンポジットレジンは誰がやっても同じ結果にはなりません。最良の材料と器具を用いて、細菌感染したむし歯だけを除去し、接着しやすい歯面に整えて、正確な接着操作で手際よく修復することにより「たちどころに治る修復」が可能になります。私のHPにある写真は矯正以外はすべて1回~3回ですべて治してあります。写真は患者さんがすべての下の歯7本を神経を除去して、セラミックスなどの冠を被せるしかないという歯科医の方針にどうしても納得できないために当院が修復した1回治療です。約2時間半の治療で患者さんのご期待以上のご満足を得られました。酸蝕歯の治療で、まず大切なことは健康な歯をなるべく削らないことです。したがって、最初にむし歯や酸蝕歯や摩耗した歯を修復するためにはコンポジットレジン修復を選択することを強く薦めます。すでに健康な歯に金属が被っている歯を修復しなおす場合だけは新たに健康な歯を削除しないで修復できるのなら、金属やセラミックスを用いることも有りかと思います。
2024年06月02日 06:03