ドックベストセメント治療の失敗
写真の右下7番はう蝕で痛みを訴える患者さんに歯肉縁下にわたるう蝕にドックベストセメントを詰めてあったが、う蝕は進行し歯髄は壊疽して、歯槽骨は大きく吸収していた。
2か月前までドックベストセメントの歯科医師にかかっていたが、痛みを訴えると食で治すと言われ治療はしてもらえなかった。
写真のようにう蝕は歯冠全体から、特にドックベストセメントの詰まっていた頬側歯肉縁下3㎜に及び、不適合なセメントのために歯肉縁下歯石がごっそり付着し、7mmの歯周ポケットを形成していた。ドックベストセメント治療は歯を削らないことというが、実際には結構削られたそうです。保存学会のう蝕除去ガイドラインに従ってう蝕象牙質外層だけを除去し、う蝕象牙質内層を保存することが重要で、それが治癒の最短距離であることを確認したいものです。いたずらにぐじゃぐじゃになったう蝕を消毒したり、そこにセメントを詰めてもしっかり健全歯質で囲まれた部分がないとIPCにならないです。
ドックベストセメントは自費治療になるそうですが、それをやらなくてもしっかりガイドラインにしたがって治療すれば治るう蝕をわざわざドックベストセメントを使ったから治ったと称しているように思えます。しっかりした技術と知識により、患者さんの余分な費用と時間、治療回数をかけさせないで最短で治すというのが歯科医の使命と思います。ドックベストセメントを患者さんに使用される前にもう一度学術的な検証をされることを強く望みます。
2022年10月02日 20:50